千里ニュータウンにお住まいのみなさまから、就学・就職・転勤などで他の地域に転居された千里ニュータウンのOB・OGのみなさまから千里ニュータウンの思い出をお聞きしています。

車止め 大学院生が謎を解明(朝日新聞, 2017年2月12日)

『朝日新聞』に新千里北町の車止めについての記事が掲載されました。


リスやゾウなどの動物に幾何学デザイン--。いずれも、大阪府吹田市と豊中市にまたがる「千里ニュータウン」の住区の一つ「新千里北町」の車止めだ。町ができた半世紀前、なぜこれほどバラエティーに富む車止めが置かれたのか。地元住民も知らなかったこの謎の解明に、一人の大学院生が挑んだ。見えてきたのは、町の設計者が車止めに込めた思いだった。【大久保昂】

調べたのは、近畿大大学院で建築計画を学ぶ武部俊寛さん(24)。千里ニュータウンの研究をする中で新千里北町の車止めに興味を持ち、修士論文のテーマに選んだ。

千里ニュータウンは12の住区に分けて開発され、新千里北町は1966年に入居が始まった。ニュータウン内は「歩車分離」に配慮して設計されているため、歩行者専用道路が多く、車の進入を防ぐ車止めがたくさん置かれている。ただ、動物や幾何学型などたくさんの種類が置かれているのは新千里北町だけだ。

武部さんは、新千里北町の道路をくまなく調べ、52基の車止めの存在を確認。動物型はキリンやリス、ゾウなど9種類、幾何学型は4種類のデザインがあった。住民に聞き取りをした結果、工事などで撤去されたものもあり、開発当初はもっと多くの車止めがあったことも判明した。

配置に法則性があることも分かった。豊中市立北丘小学校の通学路などに利用されている主要な歩行者専用道路への進入口の車止めは、原則として動物型。公園のそばに置かれた車止めも動物型だった。幾何学型のうち、逆三角形の車止めの先には多くの場合、下り坂や下り階段があることも突き止めた。子どもの通行が多いところは動物型にしてドライバーに注意を促す▽種類にバラエティーを持たせて道を間違えないための目印にしてもらう▽下り階段などの存在を知らせる--などの狙いがあるとみられる。武部さんは「住む人の安全やコミュニティーづくりを大事にしようとする設計者の思いが感じられる」と話す。

ただ、こうした車止めの配置の発案者については分からないままだ。千里ニュータウンは府の主導で開発されたが、新千里北町の設計には民間業者も関わっている。武部さんは「事情を知っている人がいれば、教えてほしい。車止めに込めた思いを直接聞いてみたい」と話している。


*「車止め 大学院生が謎を解明」・『朝日新聞』2017年2月12日

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