千里ニュータウンにお住まいのみなさまから、就学・就職・転勤などで他の地域に転居された千里ニュータウンのOB・OGのみなさまから千里ニュータウンの思い出をお聞きしています。

八中の中庭を蘇らせよう!プロジェクト その後~「千里ふれあいフェスタ」で中庭のお披露目~

今年の3月末から4月の初めにかけて、ディスカバー千里は豊中市立第八中学校の「八中の中庭を蘇らせよう!プロジェクト」にコーディネーターとして参加しました。長い間利用されていなかった中庭は今、生徒たちが自然に集まってくる八中の「ポケットパーク」(小さな公園)のようになっています。色褪せていたベンチやスツールは美術部員の皆さんのデザインによって鮮やかな色彩のオブジェに生まれ変わり、集いを誘う魅力的な「舞台装置」になりました。八中では、中庭を「屋外読書コーナー」として活用する計画が進められているようです。

12月2日(土)には、八中校区(新千里北町と新千里東町)の住民交流の催しである「第13回千里ふれあいフェスタ」が開催され、校区住民の皆さんに中庭のお披露目が行われました。リニューアルされた中庭では八中吹奏楽部の演奏会が開かれ、地域団体のカフェも出店しました。私たちディスカバー千里は、千里ニュータウンの歴史や魅力をまとめた「大きな本」やパネルを展示し、これまでに出版した千里紹介冊子や千里絵葉書の販売も行いました。

多くの方たちが色鮮やかなベンチに座って演奏を楽しみ、演奏のあとは日向ぼっこをしながらコーヒーを飲んだり、子どもたちはベンチやスツールを飛び回って遊んでいましたが、あちらこちらから「こんな中庭が八中にあるのを知らなかった」という声が聞かれました。八中フェスタによって、地域の方たちに蘇った八中の中庭を知っていただくことができ、また、中庭のお披露目が地域と中学校の距離を縮めることにつながったのではないかと感じました。

千里ニュータウンが誕生してからすでに半世紀以上が経ち、集合住宅の建替えが進んで街並みは大きく変わりつつあります。しかし、街並みや居住環境の改変に住民が主体的・具体的に関わるということは集合住宅地ではほとんどありません。デベロッパー主導で建替えが進められています。そのような状況だからこそ、今ここに暮らす人たちが、自分たちが住んでいる環境の価値を認識し、住民の力で地域の公共空間や施設を手入し、改善する機会をつくらなければ次の世代のわがまちへの愛着や誇りを育てていくことは難しいのではないかと思います。
「八中の中庭を蘇らせよう!プロジェクト」は、公共施設である中学校の中庭を地域の力で再整備することで、集いの場が再生し新たな活用のアイデアが生まれることを示したと思います。住民が身の回りの環境の価値を評価し、改善していくことで空間を蘇らせ、新たな使い方を生み出していくという「まちのリノベーション」(価値の再生)が千里ニュータウンに根付いていけばと考えます。