『中部経済新聞』に新千里北町の車止めについての記事が掲載されました。
大阪 動物や図形、50基以上
日本初の大規模計画都市「千里ニュータウン」の一角、新千里北町(大阪府豊中市)には、動物や図形をかたどったユニークな車止めが多くある。設置の経緯は不明だが、現地を調べた大学院生が配置に規則性を発見、半世紀前のまちづくりへの思いをひもといた。
1月、同町の中心部にある市立北丘小。近畿大大学院で建築計画を専攻する武部俊寛さん(24)が「北町に込められた願い」と題し、住民約50人に車止めについての研究成果を披露した。
1966年に街開きした同町は集合住宅や一戸建て、小学校、医療施設などを一体的に整備。当時、乗用車の普及で交通事故が急増しており、歩行者が車に出合わないようにする道路方式が採用された。車の誤進入を防ぐ車止めも、この頃に設置されたとみられる。
武部さんの調査では、車止めは高さ約50〜125センチ、幅約50〜75センチのコンクリート製。円などの形をくりぬいた「幾何学型」が7種類28基、キリンやリスなどの形をした「動物型」が10種24基の計52基あった。
北丘小に近づくと動物型が多くなることや、幾何学型が多い周辺部でも公園付近では動物型になるなど、子どもに親しみやすく、安全に配慮したとみられる規則性も。
一方でニュータウンに関する文献を調べ、自治体などへの聞き取りを実施。開発に携わったコンサルタント会社の設計者にも取材したが、車止めに関する記述や証言はほとんど得られなかった。
これらから、武部さんは車止めのデザインや配置は「現場担当者の判断だった」と推測。「画一的に思われがちなニュータウンにも、安全で快適なまちづくりを考えた先人のメッセージが込められている」と結論付けた。
*「ユニーク車止めに歴史あり」・『中部経済新聞』2017年2月24日