千里ニュータウンにお住まいのみなさまから、就学・就職・転勤などで他の地域に転居された千里ニュータウンのOB・OGのみなさまから千里ニュータウンの思い出をお聞きしています。

ボーイスカウト吹田第9団カブ隊のポイントハイクの新千里北町「車止め探しゲーム」に協力しました

2024年5月26日(日)、吹田市千里山とその周辺部の子どもたちを対象としたボーイスカウト吹田第9団カブ隊(小学3年生~5年生)の千里ニュータウンを歩く「ポイントハイク」が行われました。「ポイントハイク」は、指定されたポイントを探索しながら歩くボーイスカウトの訓練的なハイキングのことだそうです。今回の千里ニュータウンポイントハイクは2019年5月以来5年ぶりです。

カブ隊約20名の隊員は、指導者や保護者約15名の皆さんとともに9時ごろに阪急千里山駅西側の千里山第一噴水前を出発。「指令書」の読み解き、「歩測」の実践、途中の公園でのモニュメントの「高さ測定」などの訓練を行いながら、3時間ほどをかけて千里ニュータウンの新千里北町(豊中市)の「樫ノ木公園」に到着しました。千里丘陵のふもと(南部)にある千里山第一噴水と丘陵の高い場所(北部)に位置する樫ノ木公園とは直線距離約4kmで、標高差約50mです。

ディスカバー千里のスタッフは昼食を終えたカブ隊の皆さんと樫ノ木公園の広場で合流。新千里北町「車止め探しゲーム」に先立って千里山住宅地と千里ニュータウンのイギリス住宅地建設の歴史とのつながりや新千里北町の特長、車止めの紹介など、つぎのようなことを説明しました。

(写真提供:ボーイスカウト吹田第9団「カブ隊」)

■イギリスの住宅地づくりの考え方を学んだ千里山住宅地と千里ニュータウン
(千里山住宅地)
・約120年前に生まれたイギリスの「田園都市」に学び、約100年前に千里丘陵に誕生
・「田園都市」は環境が悪化した都市部を避けて郊外に建設され、「田園の豊かな自然環境と都市の便利さ」の両方を備え持つように計画された。
(千里ニュータウン)
・イギリスでは第2次世界大戦後の住宅不足に対応するため、「田園都市」の考え方を受け継いだ「ニュータウン」が約80年前に誕生。日本では約60年前にイギリスのニュータウンに学んだ千里ニュータウンが千里丘陵に初めて生まれた。

■新千里北町の特長
・住区全体をめぐる形にまちの人たちが集まる場所を結ぶ歩行者の道(歩行者専用道路の幹線)が配置され、一戸建て住宅地には歩行者の安全な近道として短い歩行者の道(歩行者専用道路)が設けられている。住区の主要な施設を結ぶ歩行者の道を車の道と分離して配置する歩車分離の道路計画は日本で初めて新千里北町に導入され、全国のニュータウンや計画的な大規模住宅地に広まっていった。

■動物型や○▽□の穴の開いた幾何学型車止め
・住区全体を結ぶ歩行者の道と一戸建て住宅地の歩行者の道の出入口には、車の進入や人の飛び出しを防ぐための動物型や○▽□の穴の開いたコンクリート製の車止めが数多く設置されている。
・動物型の車止めには子どもたちに楽しく通園・通学してもらいたい、戸建て住宅地内の幾何学的な形の車止めには住宅の落ち着きを阻害しないようにとの設計者の思いが込められていると考えることができる。

説明のあと、カブ隊は3組に分かれて車止めの位置が示された地図を読みながら、1時間の制限時間で30基の車止めを探し出すゲームに出発しました(新千里北町の車止めの総数は約50基)。それぞれの探索隊は、地図を読む係や先頭に立って車止めを探す係といった役割を分担して探索を進めました。ディスカバー千里のメンバーは、ところどころで車止めの形の意味を解説しました。「何のためにいろんな形の車止めがあるのですか?」との質問があり、歩行者の安全を守るということだけではなく、「『公園横のキリンさんのところに集合!』といったように、まちの目印になるようにということも考えられています」と説明すると、なるほどと納得した表情でした。探策の終了後は、樫ノ木公園に集合し、皆さんからお礼の敬礼を受けました。

(写真提供:ボーイスカウト吹田第9団「カブ隊」)

ディスカバー千里は2017年の3月に、近畿大学建築計画研究室の修士課程の学生の研究論文をもとに、『新千里北町くるまどめ』と題した車止め解説冊子を発行しました。私たちのグループが行う車止めまちあるきの解説はこの冊子にまとめられた研究成果に基づいています。この冊子がきっかけになって一層住民の方たちの車止めへの愛着が育ち、千里ニュータウン外にも車止めのユニークさが知られるようになったと思います。千里ニュータウンの暮らしの中で地域への愛着を育ててきた「モノ」が年々消えていく状況ですが、北町の車止めのように、地域内外に愛される「モノ」を再発見してその物語を大切に伝えていきたいと、「カブ隊」の皆さんが車止めを見つけて喜ぶ姿を見て感じました。
なお、カブ隊の「車止め探しゲーム」の開催については、前もって新千里北町地域自治協議会の会長さんに了解をいただき、実施されました。


■参考
ボーイスカウト吹田第9団「カブ隊」のポイントハイクの記事「隊集会「ポイントハイク」【2024.5.26】」。