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まちづくりの思い 車止めに感じて(産経新聞, 2017年3月27日)

『産経新聞』に新千里北町の車止めについての記事が掲載されました。


ゾウやキリン、図形・・・親しみやすく安全に
千里ニュータウン 近大の大学院生が研究
日本初の大規模計画都市「千里ニュータウン」の一角、新千里北町(豊中市)には、動物や図形をかたどったユニークな車止めが多くある。設置の経緯は不明だが、現地を調べた大学院生が配置に規則性を発見、半世紀前のまちづくりへの思いをひもといた。

今年1月、同町の中心部にある市立北丘小。近畿大大学院で建築計画を専攻する武部俊寛さん(24)が「北町に込められた願い」と題し、住民約50人に車止めについての研究成果を披露した。
昭和41年に街開きした同町は集合住宅や一戸建て、小学校、医療施設などを一体的に整備。当時、乗用車の普及で交通事故が急増しており、歩行者が車に出合わないようにする道路方式が採用された。車の誤進入を防ぐ車止めも、この頃に設置されたとみられる。
武部さんの調査では、車止めは高さ約50〜125センチ、幅約50〜75センチのコンクリート製。円などの形をくりぬいた「幾何学形」が7種類28基、キリンやリスなどの形をした「動物形」が10種24基の計52基あった。
北丘小に近づくと動物形が多くなることや、幾何学形が多い周辺部でも公園付近では動物型になるなど、子どもに親しみやすく、安全に配慮したとみられる規則性も。
一方でニュータウンに関する文献を調べ、自治体などへの聞き取りを実施。開発に携わったコンサルタント会社の設計者にも取材したが、車止めに関する記述や証言はほとんど得られなかった。
これらから、武部さんは車止めのデザインや配置は「現場担当者の判断だった」と推測。「画一的に思われがちなニュータウンにも、安全で快適なまちづくりを考えた先人のメッセージが込められている」と結論付けた。
「遊具だと思っていた車止めにまちづくりへの思いが込められていたことがうれしい」。武部さんの発表を聞いた主婦(49)は、同町で幼い頃、車止めのキリンの首を滑って遊んだことを思い出した。住民にとって身近な存在の車止めだが、これを機に、塗装の塗り直しや「ガイドツアー」など新たな住民活動につなげようとの機運も出ている。


*「まちづくりの思い 車止めに感じて」・『産経新聞』2017年3月27日