千里ニュータウンにお住まいのみなさまから、就学・就職・転勤などで他の地域に転居された千里ニュータウンのOB・OGのみなさまから千里ニュータウンの思い出をお聞きしています。

日常の暮らしにおける助け合い:ひがしまち街角広場が生み出したもの

新千里東町の「ひがしまち街角広場」がオープンした頃から、毎日のようにやって来られる高齢の女性がいます。何年か前に旦那さんを亡くされ、現在、「ひがしまち街角広場」近くの府営住宅に1人でお住まい。

先週、この女性が府営住宅のエレベーターで倒れ、起き上がれなくなっていたのを、「ひがしまち街角広場」のスタッフが発見し、近所の方とリレーして病院に連れて行くという出来事がありました。女性は腕に怪我をされており、病院で手当てを受け帰宅されました。

今回は幸い発見されたものの、1人でいる時に何かがあってはいけないということで、一昨日、息子さんの家に引っ越されることに。部屋を片付けている間は、部屋にいることができないため、息子さんから「ひがしまち街角広場」のスタッフに対して「母を見守っていて欲しい」という依頼がありました。
「ひがしまち街角広場」で待っている間、この女性が「家に帰りたい」と言って何度も帰ろうとするところを、スタッフはなだめながらお昼過ぎから4時まで見守っていました。


計画された街であるニュータウンでは地域の関わりが希薄だというイメージを持たれることがありますが、この出来事からはニュータウンでも助け合いの関係が築かれていること、新千里東町では「ひがしまち街角広場」が助け合いの関係の核になっていることがお分かりいただけると思います。スタッフの中にも「街角広場がなかったら私も家に閉じこもっていたかもしれない」と話す方がいます。

これは「ひがしまち街角広場」がイベントの場所でなく、日常の場所であるからこそ実現されていることです。

「ひがしまち街角広場」は2001年9月30日のオープンから約19年間、補助金を受けることなくボランティアで運営を続けてきました。しかし残念ながら、近隣センターの移転・建替に伴い、2021年の春頃、遅くとも2022年の夏頃に閉鎖することが決まっています。

ディスカバー千里(千里ニュータウン研究・情報センター)では、「ひがしまち街角広場」が生み出してきたことを継承するための動きを始めています。


この出来事には後日談があります。

引っ越された高齢の女性は引っ越しから数日後、息子さんには知らせずに一人でタクシーに乗り、30分ほどかけて府営住宅に戻ってこられたとのことです。府営住宅の方に「もうここには住めないんですよ」と言われ、泣いておられたそうです。

千里ニュータウンには有料老人ホームはありますが、主にニュータウン外の高齢者を対象としています。住民のための施設の数はほんの少しで、入所するには何年も待たなければいけないという話を聞きます。千里ニュータウンでは団地の建替えで、若いファミリー層を対象とした民間分譲マンションが次々と建設されていきます。しかし、高齢者が住み慣れたまちに住み続けるための住まいについてはほとんど考えられていません。高齢者のことを忘れたまちになってしまったのではないかとさえ思わされます。

このような状況の中で、住民自らが地域の高齢者や子どもたちを見守り続けてきた「ひがしまち街角広場」は閉鎖しなければなりません。全国各地で住民運営の「まちの居場所」は年々増えているのに、千里ニュータウンでは継続できないということはたいへん残念です。