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動物・幾何学…ユニーク車止め50カ所 近大院生が調査(朝日新聞, 2017年1月30日)

『朝日新聞』に新千里北町の車止めについての記事が掲載されました。


大阪府豊中市の千里ニュータウンにある新千里北町地区に、車の進入禁止を示すユニークな車止めが設置されている。動物や幾何学のデザインで、地区内のあちこちにある。千里ニュータウンの歴史や街並みについて研究している近畿大学大学院の学生が車止めに着目して調べたところ、50カ所以上に設置されていることが分かり、個性的な「街の宝物」として調査結果をまとめた。

新千里北町地区は閑静な住宅街で広さは約97ヘクタール。ユニークな車止めは、千里ニュータウンでも同地区内に集中していて、歩行者の専用通路に車が進入しないように設置されている。動物はキリンやゾウ、リスなどで幾何学は丸や四角、三角形など様々な種類がある。

建築計画専攻で千里ニュータウンを研究している近畿大大学院2年の武部俊寛さん(24)が、車止めに興味を持ち、2015年9月から調査を開始。学生や千里の魅力を情報発信している市民団体の協力を得て、車止めを探し歩いた。

その結果、地区内に動物は9種類24個、幾何学は4種類28個が配置されていることが判明。コンクリート製で、高さは50センチ~1・2メートルほど、幅は50~60センチほどで、色は緑や赤、黄など7種類あるという。

新千里北町の街開きは1966年。武部さんによると、公共施設や公園、住宅を計画的に配置した日本初の市街地開発事業で、歩行者専用道が多いのが特徴。「歩車分離」のために車止めの設置が多くなったとみられるが、なぜ動物や幾何学のものが置かれたのかは事業主体の府にも記録が残っておらず不明という。

新千里北町では、環状になっている延長約2・9キロの主要な歩行者専用道に動物が設置され、それ以外の通り抜け用の短い歩行者道に幾何学が置かれていることが分かったという。さらに三角の幾何学は、下り道の前に設置されていることが多いと分かり、配置に規則性がうかがえるという。

新千里北町以外の千里ニュータウンの他地区では、吹田市の青山台地区に幾何学中心に約40個あるが、それ以外の地区では集合住宅が多かったり歩行者専用道が少なかったりしてあまり見かけないという。

待ち合わせ場所になるなど、住民らに親しまれている車止めだが、設置から半世紀が過ぎ、色がはげたり変形したりしているものも多い。武部さんは「人に優しい豊かな街として、生活に彩りを生み出そうとして設計者が遊び心からユニークな車止めにしたのでは。ニュータウン開発の歴史的な遺産、地域の宝として大切にしてもらいたい」と話している。(吉村治彦)


*吉村治彦「動物・幾何学…ユニーク車止め50カ所 近大院生が調査」・『朝日新聞』2017年1月30日