住民が集い、まちの自然環境を手入れする活動
4月12日(土)に、こぼれび通り北側の千里東町公園竹林で新千里東町の春の恒例行事「竹林清掃」が東丘公民分館と市民グループ「千里竹の会」の共催で行われました。この竹林は、千里竹の会の皆さんによって毎週水曜日と土曜日に整備作業が行われ、美しい竹林景観・環境が保たれています。千里竹の会の指導によって行われる住民参加の竹林清掃の目的は、住民がタケノコ掘りを楽しむとともに竹林の清掃を行うことで、地域の自然環境の手入れの大切さや大変さを体験することで身の回りの環境に関心を持ち、併せて住民の交流を育むことにあります。


(竹林から望む完成間近なUR新千里東町団地建替え(完成後は「千里グリーンヒルズ東町」に改名))
今年のタケノコの育ち具合は・・・
竹林清掃は朝から好天に恵まれて約150人の参加があり、子どもたちも多く参加しました。午前10時からラジオ体操で体をほぐし、ディスカバー千里のメンバーが江戸時代末に始まる千里丘陵や上新田のタケノコ栽培の歴史を紹介、千里竹の会による注意事項説明の後、参加者の皆さんは陽光が差し込む竹林に入っていきました。広場から竹林を見渡すと頭を出したタケノコは見当たらず、「今年は不作かな」との声が聞かれました。しかし、参加者の皆さんはタケノコが頭を出す前の地面の盛り上がりを見つけて丁寧にタケノコを掘り出していました。今年は地中から出てくる時期が遅れ、その分、質の良いタケノコが採れたようです。11時過ぎにはタケノコ掘りは終了。参加された皆さんは掘ったタケノコを抱えて満足そうに帰っていかれました。千里竹の会の方の話では、タケノコが成長する前にタケノコを間引きすることで、タケ同士の間隔を広くしておくことがタケの生育にとって大切だとのことでした。

(晴天に恵まれ、親子での参加が多く見られた)
千里丘陵の環境の保全・活用・・・千里東町公園計画の先進性
ニュータウンが建設される前、新千里東町は北町、西町と南町の一部とともに上新田の村の山林や農地でした。上新田を含む千里丘陵は多くの山と谷が入り組んでいて、田んぼや畑に適した土地は限られていましたので、斜面にモウソウチクが植えられ、タケノコの栽培が行われました。千里丘陵のタケノコは良質で、加えて上新田は大阪市内への運送に便利な立地にあるため、採れたてのタケノコが大阪市内に届けられて人気がありました。千里ニュータウンの建設によって竹林の大部分が姿を消しましたが、新千里北町に始まるニュータウンの建設後半の住区では、かつての千里丘陵の環境を公園などに受け継ごうという考え方が取り入れられました。千里東町公園では地形の高低とともに、竹林や雑木林、ため池などのかつての丘陵の環境が保全されました。地域固有の自然環境を公園などに受け継ぎ、活かす「環境保全・活用」の考え方は、日本では千里ニュータウン建設後半に始まり、全国のニュータウンや大規模住宅地の建設に取り入れられていきました。

(広場での千里丘陵や新千里東町紹介のパネルの展示(制作:ディスカバー千里))
新千里東町の住民が発案し受け継いできた環境保全活動
千里東町公園竹林での千里竹の会の整備活動や住民参加の清掃の催しは、新千里東町近隣センターにあったコミュニティカフェ「ひがしまち街角広場」に集う住民の皆さんが20数年前に発案され、受け継がれてきた活動です。このような活動を住民の方たち、特に子どもたちが体験することは、新千里東町や千里東町公園の環境への愛着や誇りを育てることにつながっていくと思います。
- 住民ボランティアによる自主運営の「ひがしまち街角広場」は、新千里東町近隣センターの
市街地再開発事業に伴い、2022年5月末に運営を終了