千里ニュータウンにお住まいのみなさまから、就学・就職・転勤などで他の地域に転居された千里ニュータウンのOB・OGのみなさまから千里ニュータウンの思い出をお聞きしています。

『ディスカバー千里だより』No.6(2019年8月20日号)

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豊中市の令和元年度憲法記念日市長表彰を受けました

千里ニュータウン研究・情報センター(ディスカバー千里)は、豊中市の令和元年度憲法記念日市長表彰を受けました。この表彰は、豊中市の発展、市民福祉の向上などに貢献した人物・団体に対して、その功績を称え顕彰するために行われるもので、今年は27人、8団体が表彰を受けました。

ディスカバー千里は2002年に「千里グッズの会」としてスタートしました。
「魅力ある街には魅力ある絵葉書がある」をテーマに、千里の住民の方たちと大学生、建築やまちづくりの研究者・専門家が協力して千里の絵葉書を作成することから始めました。
千里ニュータウンは2000年頃から集合住宅の建替えが本格化したため、千里の絵葉書にある風景は次々と消えていき、絵葉書は千里ニュータウンの貴重な記録となっています。千里の絵葉書づくりを進めるにつれ、私たちは「まちを記録する」ことの大切さを感じ、絵葉書の作成だけではなく、住民の方たちに暮らしの思い出話をお聞きして記録したり、千里ニュータウンの成り立ちや変化を調査・研究して蓄積・発信していくことにも取り組むようになりました。2012年には団体名を「千里ニュータウン研究・情報センター」(通称ディスカバー千里)と改めました。
2011年からの約3年間は、豊中市との協働事業として「千里ニュータウンの地域情報の蓄積・編集・発信システムの開発事業」に取り組みました。
以来、千里ニュータウンの調査・研究・蓄積と地域の催しの場での発表、国内外からの千里ニュータウン見学者の案内、千里ニュータウンに関する講演、身近な環境のリノベーション(改修)の提案と実践のためのコーディネートといった活動を続けています。
これまでの17年間にわたる私たちの活動は、千里ニュータウンの住民の皆さまのご協力を頂きながら続けてまいりました。これからも、千里の暮らしの歴史や価値を評価し、お伝えし、千里ニュータウンのあるべき姿を住民の皆さまとともに模索していければと考えております。
今後ともよろしくお願いいたします。

表彰状
千里ニュータウン研究・情報センター様

貴センターは多年にわたり地域住民と協働し千里地域の魅力を発信することで千里のまちづくりに寄与されました
その功績はまことに多大でありこれを表彰します

令和元年(2019年)5月3日
豊中市長 長内繁樹

コラボ2坪マルシェのご案内

千里文化センター・コラボでは、2018年1月から「コラボ2坪マルシェ」という試験的な試みが始まっています。「「既存の市民活動の支援」と「新たな市民活動の芽を育てる」ことで、「千里文化センター“コラボ”の賑わい創出」と「地域活性化の機縁」とする」ために、千里文化センター・コラボ正面玄関前の小部屋を、市民活動団体に開放することで、市民活動団体の活動紹介の場にする試み。
ディスカバー千里では以下の日程で「コラボ2坪マルシェ」に出店します。これまでに収集した千里ニュータウンの暮らしの歴史や千里丘陵の自然史にまつわる資料の展示、千里の絵葉書や冊子『千里ニュータウン・ウォークガイド』、『新千里北町くるまどめ』の販売などを行います。

  • 日時:
    9月19日(木) 14〜16時
    9月20日(金)・21日(土) 10時~16時
  • 場所:
    千里文化センター・コラボ 正面玄関前

※今回も「コラボ2坪マルシェ」の売上金の一部を、「とよなか夢基金」に寄付させていただきます。

2019年9月21日(土)、10時~12時30分には、千里文化センター・コラボ2階の多目的スペースにて新千里東町の東丘公民分館の50周年記念式典が開催されます。記念式典では、東丘公民分館にゆかりのある方々によるパネルディスカッション「分館活動を振り返り、次世代に引き継ぐ」が開催予定です。

ディスカバー千里:最近の活動

北町車止めポイントハイク

2019年5月12日(日)、千里山を拠点に活動するボーイスカウト吹田第9団カブ隊の「北町車止めポイントハイク」に協力しました。参加者はカブ隊メンバー(小学3〜5年生)約20名と、指導役の中高生や大人のボーイスカウトの方々ら約15名です。
「ポイントハイク」は、指定されたポイントを探索しながら歩くボーイスカウトの訓練的なハイキングのこと。新千里北町には、動物型と幾何学型の約50基の車止めが歩行者専用道路の入口や児童公園の近くに設置されています。この車止めが今回のポイントハイクの「ポイント」として選ばれました。子どもたちが楽しみながら、街の特徴や成り立ちを発見していました。

吹田市観光講座

2019年5月26日(月)、千里ニュータウンプラザで開講された吹田市観光講座の講師をつとめました。第9回吹田市観光講座(主催:吹田歴史文化まちづくり協会、共催:吹田市)の第1回目として開講された講座で、定員の40名を越える44名の受講がありました。
講座では「暮らしの場から千里ニュータウンの変容を見つめる」と題して、世界のニュータウンの流れ、千里ニュータウンの計画の特徴、団地の建替え、近年のコミュニティ活動の流れを講演。最後に、千里ニュータウンがこれから考えていくべきこととして、3つの問題提起を行いました。
□子育てを終えた母親や、リタイアした人などにとって、身近に働ける場所をどう実現するか?
□千里中央にいくつかあったホールや千里セルシーなどが取り壊されたが、これからの千里ニュータウンの文化をどう考えていくか?
□団地の建替で若い人が増えているが、今から20~30年後にはまた急激な高齢化が予想される。絶えず新しい人を受け入れるニュータウンをどうやって実現するか?

新しい絵葉書が完成

府営新千里東住宅(4種類)とディスカバー千里の活動(4種類)の絵葉書が完成しました。
千里ニュータウンの多くの府営住宅には住棟が「コの字型」に配置され車が折り返すための袋小路がありますが、府営新千里東住宅には袋小路のない「ロの字型」の特徴的な住棟配置がありました。府営新千里東住宅は建替えが進み、かつての姿が消えつつあります。「自分が住んでいた団地の写真を思い出として持っていたい」、「遠くに住んでいる府営新千里東住宅出身の友人に送りたい」と思う人は多いという住民からの提案を受け絵葉書づくりを開始。昨年12月に第八中学校で開催された「第14回千里ふれあいフェスタ」の会場で人気投票を行い、人気の高かった4種類を絵葉書にしました。

その他の活動

□2019年6月23日(日)、新千里東町の「新千里桜ヶ丘メゾンシティ」のシニアクラブのセミナーで、「千里ニュータウンのこれまで・これから」を講演。講演後には千里丘陵の自然史のパネルを展示

□「ひがしまち街角広場」の空き時間(スキマ)を活用する「街角広場スキマチャレンジ」をスタート。新千里東町近隣センターの立ち飲みコーナー、医療センターのカフェと連携しながら、2019年1〜6月に5回開催

連載コラム:千里発見

[第2回]「ようでけとる」「できすぎ」のその後

(鈴木毅)

先頃亡くなられた田辺聖子さんに千里ニュータウンを舞台にした小説があることをご存知でしょうか。昭和47年に朝日新聞夕刊に連載され、翌年(1973)出版された「すべってころんで」という作品です。中年夫婦が主人公の家庭小説で、文中に以下のやりとりがあります。

「あまりにきちんと並べられた街路樹。
適当なところへ、いかにも適切にしつらえられたマーケット。
ほどよきほどに配置された医療センター。
『よう、でけとるやないか・・・さすがやな』
夫の太一が感心するのへ、啓子は手放しであいづちが打てず、思わず心外な声になった。
『できすぎ、やわ』
『オマエは何でそう、いちいち、ケチつけるねん、全く女というものは・・・』」

完成直後の千里に対する男女の意識の違いが興味深いです。およそ50年たった今、「ようでけとる」「できすぎ」と評された千里の街と千里のイメージはどう変わったのでしょうか。
文藝春秋8月号の「追悼田辺聖子 珠玉のことば」では川上弘美、山田詠美、綿矢りさという、当代きっての女性作家が人と作品と魅力を語られており、田辺文学への良い案内になっています。田辺聖子さんのご冥福をお祈りいたします。


※千里ニュータウンのレクチャー、ガイドツアー(要資料代)を行います。詳細はお問合せください。