千里ニュータウンにお住まいのみなさまから、就学・就職・転勤などで他の地域に転居された千里ニュータウンのOB・OGのみなさまから千里ニュータウンの思い出をお聞きしています。

『ディスカバー千里だより』No.9(2021年9月1日号)

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新千里東町「こぼれび通り」の樹木マップづくり

千里ニュータウンでは、前半に開発された住区と後半に開発された住区で道路の形が異なっています。
後半に開発された住区では、豊中市域の新千里北町(1966年4月入居開始)を皮切りに、安全・快適な歩行者路として住区内の主要施設を結ぶ形の歩行者専用道路が導入されます。歩車分離体系の新たな形でした。小・中学校、保育園、幼稚園、近隣センター、公園などの施設が車の通らない歩行者路で結ばれ、子どもたちにとっては安全な通学路が形成されます。この歩車分離道路体系は、その後建設される千里ニュータウンの住区に導入され、さらに全国のニュータウンや大規模住宅地に広がっていきます。

新千里北町の次に開発された新千里東町(1966年5月入居開始)では、この形の歩行者専用道路が千里中央の商業エリアを起終点にして住区全体に配置され、幹線ルートが主要施設を「コ」の字の形に結んでいます。
「コ」の字型の南側にあって西の千里中央商業エリアと東の千里中央公園を結ぶ歩行者専用道路は「こぼれび通り」の愛称で呼ばれています(1993年市民公募により命名)。こぼれび通りは、両側に植栽帯を持ち、多様な街路樹や花木が景観の変化と季節感を演出し、左右に緩やかなカーブを繰り返す道路線形は道の期待感を生み出しています。こぼれび通りはその後、全国のニュータウンや大規模住宅地に導入されることになる「緑道」のモデルとなった歩行者専用道路で、日本の住宅地計画の歴史の中で重要な位置づけの道路です。

大阪府が新千里東町の開発にあたって昭和39年(1964年)に作成した新千里東町の住区基本計画設計説明書概要書には次のような記述があります。庭園的環境づくりとまちを巡る歩行者専用道路の導入による先進的な住区実現への意気込みが感じられます。

「J住区は、この副都心に隣る住区として、理想的住区として計画された。即ち、欧米諸新都市で考えられているぺデストリアンと、自動車道路の徹底的分離を実現した。高密度高層・中層住宅群を数グループに分けて配置して、各グループはペデストリアン道路によって、幼稚園、小学校等の公共施設に便利に安全に結ばれ、且つ美しい庭園の中を通るように考えられている。」

※J住区:開発時に使われていた新千里東町の名称(工区名称)
※ペデストリアン:歩行者専用道路

ディスカバー千里は、千里ニュータウンのまち案内グループ「ぶらり千里の会」と共同して、こぼれび通りの樹木マップの作成に取り組んでいます。
通り沿いの樹木のほとんどは、新千里東町の開発時に植えられた樹木とやその後に新たに加えられた樹木ですが、樹種が多様です。通りの周辺には千里丘陵の歴史を伝える樹木が見られます。千里丘陵の植生であったアカマツや江戸時代末にタケノコ栽培のために植えられたモウソウチク(孟宗竹)の竹林。UR新千里東町団地(千里グリーンヒルズ東町)の西側入口付近には、メタセコイアが数本、団地のゲートツリーとしてそびえています。メタセコイアは太古に絶滅したとされ、1946年に中国で発見されて日本に種子と苗木が贈られ、日本各地で植えられた「生きた化石」とも呼ばれる樹木です。新千里東町の南側にある上新田では、メタセコイアの化石が発見されたことがあり、太古の千里と現在の千里がメタセコイアでつながっています。

樹木の紹介と合わせて、千里丘陵の歴史や千里ニュータウン開発の考え方、「こぼれび通り」の価値をも知っていただくことができればと考え、「こぼれび通り樹木マップ」の作成に取り組んでいます。

新千里東町団地ものがたり展

新千里東町のUR新千里東町団地は、現在、千里グリーンヒルズ東町への建て替えが進められています。ディスカバー千里は、「街かどデイハウス千里」、近畿大学建築学部鈴木毅研究室との共催で、UR新千里東町団地の歴史を伝える展示会「新千里東町団地ものがたり展」を開催しました。
「新千里東町団地ものがたり展」は、近畿大学建築学部鈴木毅研究室の協力により新たに作成した「大きな本」を用いて展示しています。「大きな本」に掲載された昔の写真や自治会ニュースを見ながら、住民の方から様々な思い出話を聞かせていただきました。
千里ニュータウンの街の歩みを振り返り語るためのメディア(媒介物)をつくることは、ディスカバー千里の重要な仕事だと考えています。

「新千里東町団地ものがたり展」の解説と懇談会を予定しています。

  • 会場:UR千里グリーンヒルズ東町(新千里東町団地)103棟1階集会所談話室
  • 時期:大阪府の緊急事態宣言が解除された後に開催予定です。日時が決まりましたら、UR千里グリーンヒルズ東町の掲示板、ディスカバー千里のウェブサイトにてお知らせいたします。
  • 事前申込:不要。直接会場にお越しください。
  • 参加費:無料
  • UR千里グリーンヒルズ東町(新千里東町団地)の住民以外の方でもご参加いただけます。

『ぶらり千里』がウェブで公開

2015年3月、千里ニュータウンの観光冊子『ぶらり千里:魅力発見ガイドブック』が刊行されました。豊中市千里文化センター「コラボ」の市民実行委員会広報プロジェクトのメンバーが中心となって編集した冊子で、広報プロジェクトにはディスカバー千里のメンバーも参加しています。
これまで、千里文化センター「コラボ」の窓口で配布されてきましたが、2021年4月から豊中市のウェブサイトで公開されていますので、ご案内いたします。

街角広場の思い出写真展

新千里東町の「ひがしまち街角広場」は、近隣センターに交流の場や子どもと大人が出会う場をつくりたいとの住民の思いが実り、2001年9月に誕生しました。その後、住民ボランティアによる運営が続けられ、新千里東町に欠かせない場所になってきましたが、残念ながら近隣センターの移転に伴い、2022年5月末に運営を終了する予定です。
ディスカバー千里は、運営終了までの残りの1年間、「ひがしまち街角広場」で育まれてきたものを振り返るための「思い出写真展」をシリーズで開催します。第1回目のテーマは「街角広場と子どもたち」です。ささやかな写真展ではありますが、「ひがしまち街角広場」が果たしてきた役割を改めて振り返り、今後の居場所づくりにつなげることができればと考えています。

  • 時期:2021年5月末から2022年5月末(予定)
  • 場所:「ひがしまち街角広場」前
  • 展示時間:常時

「ひがしまち街角広場」がオープンした頃の東丘小学校の校長先生が、「思い出写真展」が紹介された地域新聞『ひがしおか』(2021年7月号)の記事を読み、当時自らが撮影した写真を持参してくださいました。
写真の中に、偶然、「ひがしまち街角広場」のスタッフを続けてこられた方の亡くなった旦那さんが写っていました。写真を見て、「写真が嫌いな人だったので、こんな姿を見れるなんてうれしい」と喜んでおられました。
「ひがしまち街角広場」の向かいにある東丘小学校のかつての校長先生が2写真を持って訪ねて来られる。そこに居合わせた来訪者やスタッフが写真を見て、「ご主人の写真があってよかったね」と共に喜び合い、思い出話に花が咲く。暮らしの中の緩やかな繋がりの場所であり、喜びをともに分かち合う「まちの居場所」として、「ひがしまち街角広場」が20年間に育んできたもの、繋いできたものを改めて確認できた出来事でした。

(街角広場がオープンした頃に校長先生が撮影された写真)